【競艇入門】競艇の控除率と期待値 | ギャンブルの原理原則

競艇の控除率と期待値-初心者向けに解説

期待値と控除率

ギャンブルは勝てない?

「胴元が勝つようにできているから、ギャンブルは勝てない」

真理のように語られることも多い言葉ですが、これは「参加者全体」や「運や偶然のみで決まるギャンブル」の場合です。

 

「参加者全体」が勝てないのは「控除率」があるため。

控除率

賭けたお金に対して、胴元が取る金額の平均

胴元の取り分をテラ銭とも言います。

 

日本の公営競技(競艇・競馬など)のテラ銭は「パリミュチュエル方式」で計算されます。

パリミュチュエル方式

総売上から一定率の金額を控除(天引き)し、残りを当たった投票数で割って、1票あたりの払戻し額を決める方法。

 

胴元は舟券・馬券を売った時点で利益が確保されている。

親(胴元)側が控除率分必ず儲かる仕組みなので、子(参加者)全体では必ず負けます。

 

しかし、個人単位で見ると「予想能力や技術によって勝率が変化するギャンブル」では勝つことも可能です。
「期待値」がプラスの勝負が出来るかどうかがポイント。

期待値

賭けたお金に対して、戻ってくる金額の平均

宝くじやルーレットのような「運や偶然のみで決まるギャンブル」は期待値が固定されているため、長期的には控除率分負けてしまいます。

 

改めて言うまでもなくギャンブルで勝ち続けるのは簡単なことではありませんが、原理原則の「控除率・期待値」と「大数の法則」から考察していきます。

 

 

競艇の控除率は25%

主なギャンブルの控除率一覧

種目 控除率
公営競技 20~30%
宝くじ 53.5%
サッカーくじ 50%
カジノ 5~10%
ブックメーカー 5%
パチンコ・スロット 15~20%

 

海外のカジノなどと比べると、日本の公営競技の控除率は高め。

競艇は一律に25%ですが、競馬は投票法ごとに払戻率が違います。
競艇もファン感謝デーの時ぐらいは控除率が変わる仕組みがあれば面白いですね。

競馬の払戻率

投票法 払戻率
単勝 80.0%
複勝 80.0%
枠・馬連 77.5%
3連複 75.0%
3連単 72.5%
WIN5 70.0%

通常の払戻金に「売上げの5%相当額を上乗せ」して払い戻す「JRAスーパープレミアム」や、特定レースで全投票法の払戻率が80%になる「JRAスーパープレミアム」などのキャンペーンもあります。

競馬の還元率優遇キャンペーン

JRA公式サイトより引用

 

競艇の実質還元率

競艇の控除率は25%ですが、実際に払い戻される還元率は74.8%です。

 

これは舟券の時効や紛失があることや、オッズ計算時に端数の切り捨てがあるため。

 

オッズについては以下のページにまとめています。

競艇(ボートレース)のオッズとは 【競艇入門】オッズの基本 | 仕組み・オッズの歪みについて

 

大数の法則

「100%貰える1万円か、50%で貰える3万円のどちらかを選べ」と言われたら、

前者は期待値10,000円、後者は期待値15,000円です。

一回きりなら前者を選ぶ人が多いと思いますが、100回チャレンジできるなら後者の方が得する確率が高いですね。

 

「期待値・控除率」は大量の試行回数があってはじめて正確性を持つ「理論上の平均の値」です。

これは「大数の法則」と呼ばれています。

大数(たいすう)の法則

試行回数を増やせば増やすほど、確率は平均値に近づく。

たくさん集めて平均を求めれば、ほぼ一定値に収束していくという現象。

 

 

下のグラフはサイコロを100回投げた時の目の出方をシミュレーションしたグラフ。

サイコロの確率

「1/6」を100回では偏りが出るのは当然ですね。

 

もっと確率を低くしてコインの裏表、「1/2」の確率でシミュレーション。

確率の収束(コイン)シミュレーション

一万回以上の平均値はほぼ50%に収束。
おおよそ確率分母の400倍の試行回数があれば、95%の確率で誤差±10%以内の確率になると言われています。

 

感覚的には「2分の1」の確率ならもっと少ない回数でも収束すると思いませんか?
これは「ギャンブラーの誤謬」と呼ばれる心理現象。

ギャンブラーの誤謬(ごびゅう)

少ない試行回数に対して本来の確率を当てはめてしまう心理。

 

コイン投げは過去の結果にも未来にも影響を与えない「独立事象」です。
(引くごとにハズレが減っていくクジ引きのようなものは「従属事象」)

 

 

「表」が5回連続で出たら「そろそろ裏が出そう」と思いがちですが、次の1回も確率は変わりません。

例え20回連続(1/1048576)のような異常値が出たとしても、大量の試行回数があれば薄まっていくだけです。

 

コインの重心や回転にクセがあれば話は別ですが、公正なコイントスなら「揺り戻し」や「流れ」を期待して次の1回を予測することはできません。

 

 

競艇に関して言えば、前のレースの結果が次のレースに影響しないので基本的には「独立事象」

 

強風時はインが飛びやすかったり、追い風が強い時は「差し」が決まりやすいなど、データとして傾向が出ている「流れ」のようなものはあるので、レース毎に判断したいですね。

 

 

競艇のインが年々強くなっているのは「回数」を増やして欲しいという施行者側の思惑も。

1レースの予算が1,000円なら控除平均250円。
的中不的中を繰り返して5レース回転すれば、元手が1,000円でも施行者の利益は1,250円。

多くの人が十分な回数を賭けてくれるので、大数の法則により胴元は安定して利益を上げることが出来ます。

 

個人レベルで収束する?

「確率」は収束することを前提にしていますが、そのためには大量の試行回数が必要です。

 

スロットのように一日で数千ゲーム回せるなら収束も早いですが、競艇は一年間全レース賭けても約54,000回。

「予想する」というプロセスもあるので回数を稼ぎにくく、人によっては一生分をトータルしても収束しない可能性もあります。

 

実際はレースの予想毎に期待値が変わりますが、簡易的に回収率100%をシミュレーションしたものが下のグラフ。

回収率100%収支グラフ

(条件:的中率25% / 平均配当2,400円 ±30% / 年間600R / 100円の6点買い)

 

年間600レース(1週間あたり約12レース)程度では分散(上振れ・下振れ)していることが分かります。

仮に回収率100%を越えるような予想精度を持っていても、回数や賭け方によっては年間でマイナス収支になる可能性もあるので長期的な視点が必要ですね。

 

競艇の期待値

ギャンブルにおける「期待値」は原理原則の真理。

「期待値」という理論上の値がプラスならば、結果を表す「回収率」も理論上はプラスになります。

期待値の計算式

 

競艇の控除率は25%のため「参加者全体の期待値」は75%。

舟券を1,000円買った場合、大雑把に言うと250円は主催者側に取られて750円分しかオッズに反映されません。
参加した時点では全員が負けてる状態ですが、的中した人に総額の75%が払い戻される仕組みです。

つまり、参加者(子)同士の勝負なので「個人」の予想によって期待値が異なります。

 

前述した「大数の法則」から「控除率25%だから長期的に賭け続けると全員負ける」と思ってしまいそうですが、これは「運や偶然」で決まるギャンブルの場合。

長期的に回収率110%の人は平均より優秀な予想能力を持っているだけで、賭け続けても75%に近付いていくわけではありません。

「全体に払い戻される金額が75%」であって、一人ひとりの予想に見合った回収率に収束していくだけです。

 

控除率25%

期待値は買い目によって変わりますが、控除率25%が厳しいのは言うまでもありません。

総売上が1000万の単勝オッズ

枠番 売上 支持率 オッズ(控除0%) オッズ(控除25%)
500万 50% 2.0倍 1.5倍
200万 20% 5.0倍 3.7倍
120万 12% 8.3倍 6.2倍
100万 10% 10.0倍 7.5倍
50万 5% 20.0倍 15.0倍
30万 3% 33.3倍 25.0倍

 

全国の競艇ファンが正確に1着を予測できた場合、「支持率(得票率)」がそのまま「実際の的中確率」になります。

 

これが控除率25%になると全ての目が期待値75%になってしまい、長期的には誰も勝てません。
(1号艇:50%で的中なのに配当1.5倍=75%)

 

実際は的中確率とオッズには歪みがありますが、控除率25%という条件で期待値プラスを狙い続けるのは至難の業。

大半の人が負けるのも当然で、勝ち続ける人はほんの一握りです。

 

回収率がマイナスでもそれ以上の魅力が競艇にはありますが、「儲ける」には厳しい条件でプレイしているのは確かですね。

 

 

そして、競艇の期待値は以下の計算式でも表せます。

競艇の期待値計算式

パチンコのように当たり確率が決まっていれば期待値を計算できますが、確率を自分なりに導き出すのが競艇の予想。

的中確率を数値化できないことや確定オッズで勝負できないため、競艇の期待値はあくまでも主観です。

 

例として、単勝オッズで期待値を考えてみます。

競艇の期待値解説

ボートレース公式サイトより引用

4号艇井口選手の的中率が15%あると予想するなら

的中率15% × オッズ9.8 = 147%

実際に的中率を数値化しなくても、「このオッズならおいしい」という感覚があれば勝負できますね。

 

また、回収率100%のボーダーから考えると、

1号艇の峰選手のオッズは「1.2」
回収率100%となる的中率は、

回収率100% ÷ 1.2 = 83.3%

「83.3%」以上で勝つと予想するなら、期待値プラスと判断できます。

 

結局は「オッズ以上に勝つ確率が高い選手(買い目)を狙う」という当たり前の話ですが、大まかに期待値を計算すると判断しやすくなります。

また、多点買いする場合は「合成オッズ(複数の買い目を1点買いに置き換えた場合のオッズ)」が目安になります。

合成オッズとは-競艇・ボートレース 【競艇入門】合成オッズの基本と活用方法

 

的中率より回収率

「期待値」は簡単に言うと「出来るだけ儲かるように賭ける」ことなので、的中率より回収率が重要。

個人的には、的中を狙い過ぎると回収率は上がりにくい印象です。
もちろん的中率は高いに越したことはないし、抜群の予想精度が有れば別ですが。

また、回収率100%を超える前提なら「資金回転」の効率を上げる為に的中率が高い方が有利になったりと、条件によるので回収率が全てと言う訳でもありません。

 

初心者の頃を思い返すと、本命狙いでは「目の前のレースを当てたい」気持ちが強く、点数が多過ぎるハイリスク・ローリターンの勝負になりがち。

穴狙いはハイリスク・ハイリターンですが、人間は「得する確率」を過大評価する性質があるので、的中率を高く見積もり過ぎているケースも。

ギャンブルのやり方に正解も不正解もないとは思いますが、「期待値」を意識しないと負けるべくして負ける勝負をしている可能性があります。

 

 

ただし、予想精度に依存する部分が大きいので「期待値」は理想論の部分も。

「出来るだけ儲かるように賭ける」なんて全員考えていることで、的中確率を数値化できないから期待値なんて意味がないという意見もあると思います。

 

データ分析すればある程度は可能になりますが、菊地孝平選手の男前過ぎるコメントはデータでは表せないし、数字度外視で熱くなれるのも競艇の魅力の一つ。

菊地孝平選手コメント

ボートレース公式サイトより引用

2020年グランドチャンピオン準優勝戦のコメントで、結果「まくり」で1着!

菊地孝平選手まくり勝利

ボートレース公式サイトより引用

「期待値」は儲けるための指標に過ぎず、ギャンブルの目的や楽しみ方は人それぞれ。
個人的には「外れても納得できる舟券を買う」が一番大事な気もします。

また、機械学習が得意な友人と共同で「AI予想」にチャレンジ中なので、結果が出たら的中確率を数値化して公開したいと思います。