的中画像の加工・偽造・捏造
※2021年6月15日:いくつかお問い合わせを頂いたので全体的に加筆し、信用できるケースを追記しました。
リクエスト頂いた「的中画像の捏造」について検証します。
まずは的中画像!
回収率も自由自在。
競馬の加工も原理は同じです。
捏造・偽造しているケースもあり得るので、過度に射幸心を煽るような的中画像や文章には注意したいところ。
しっかり内容で判断したいですね。
この記事では実例をもとに「手口・見破り方」について詳しく解説します。
偽造・捏造の手口
注意喚起のために方法を公開しているので悪用厳禁
方法は2つあります。
- 画像自体を加工
- HTML・CSSを書き換える
画像自体を加工
Photoshopなどの画像加工ソフトを使えば可能です。
例として、舟券の画像を加工して検証。
加工箇所は「1ー2ー4」→「1ー2ー3」、「1,000円」→「10,000円」
パッと見ただけでは加工とは分かりませんが、後述する画像解析で見破れるケースもあります。
また、テレボートの場合でも、数字を合成することで作ることが可能です。
「HTML・CSS」を書き換える
「HTML・CSS」というWebページを作っている言語を一時的に書き換えることで、桁を増やしたり買い目を変えることができます。
PCがある方はGoogle Chromeでキーボードの「F12」か、右クリックで「検証」を選択。
「Chromeデペロッパーツール」が起動するので、対象のHTMLやCSSを書き換えるだけです。
データ自体を一時的に書き換えているため、基本的には文字がズレることもありません。
エミュレートという機能を使えば、スマホで表示しているかのようなスクショを撮ることも可能です。
スマホ本体で表示する場合は、PCに接続していじれば反映されます。
ツールの設定やiphoneならMacが必要だったりしますが、桁を変えるだけなら1分もあれば作れます。
※スマホでの手順の質問もありましたが、詳細な手順は公開しません。
また、「新しいテレボート(https://spweb.brtb.jp)でも出来ますか?」という問い合わせもありましたが、以前のテレボート同様にHTMLの書き換えが可能です。
例として、2014年のグランプリ(平和島)の的中画像を作成。
基本的にはブラウザ上(SafariやGoogle Chromeなど)で表示される文字は、ほぼ書き換え出来ます。
画像ファイル(写真やイラストなど)はHTMLコードではないので書き換えできませんが、画像加工ソフトと併用すれば大体のことは可能です。
偽造・捏造の見破り方
画像自体を加工している場合
ソフトで加工している場合は「トーンカーブ」を調整して見破れる可能性があります。
加工舟券で検証してみます。
画像加工ソフトで「トーンカーブ」をギザギザの山状に設定。
これで「明るさ」や「明暗の比率(コントラスト)」の差異が分かりやすくなります。
写真の色味によっては「階調の反転」をした方が分かりやすいので今回も適用。
肉眼では見えなかった裏面の文字も判別できますね。
加工箇所を拡大して見ると「3」の周辺に怪しい四角の境界線が見えます。
これは「3」を切り取って「4」の上に貼り付けているため。
雑な合成方法ですが、背景がシンプルならパッと見た程度では分かりません。
例は分かりやすく作ったので、色味をさらに調整したり境界線をぼかされたら判断が難しいケースもあります。
「1,000円」→「10,000円」の部分は「数字だけ」をコピーして桁をズラして作成。
この方法なら、切り貼りのような境界線は出ません。
しかし、下段の上2桁目の「0」だけ明るくて不自然ですね。
光の当たり方を無視して合成すると、このような肉眼では分からない差異が出てきます。
あとは、単純に数字やコンマがズレていないかもポイントです。
続いて、テレボートの画像でも検証。
舟券と同様の手法、単純な切り貼りと数字コピーを併用して作成しています。
残念ながら、拡大しても不自然な部分はありません。
テレボートの画像は背景が白なので、加工難易度は低め。
ズレたりしていない限り判断は難しいと思います。
ELA(エラーレベル解析)という別の手法も試しましたが、見破ることはできませんでした。
しかし、最近は「フェイク画像」を防ぐ技術の開発が進んでいて、将来的に「画像の出どころや編集履歴」が記録される規格に変わる可能性もあります。
これが実装されれば一定の効果はありそうですね。
加工を見破るにはある程度の画質が必要で、小さ過ぎる画像だと困難になります。
また、Webに画像をアップする際は、そのままだと容量が大きくて重いので「圧縮」するのが普通です。
圧縮を行うと、圧縮率によっては「ノイズ」と呼ばれる画質の乱れが発生します。
文字の周りにノイズが発生して、一見すると切り貼りしたようにも。
このように劣化した状態だと、画像が加工されているか判断できないケースもあります。
ただし、近年は技術の進歩もあって、よっぽど圧縮しないとノイズは目立ちません。
ツイッターやLINEなどのSNSは自動で圧縮されていますが、パッと見た程度では分からないと思います。
他にも、拡張子がJPEGなどの画像では「画像を加工→保存」を繰り返すと同様に劣化します。
「HTML・CSS」を書き換えている場合
数値を書き換えてスクショしている場合は、打ち間違えなどのミスをしていない限り基本的には分かりません。
機種やブラウザによって表示が微妙に変わるので検証しづらい面もあり、丁寧に作られると見破るのは困難だと思います。
この手法は、捏造した投資の損益画面やネットバンクの残高を見せて信用させる詐欺に使われることも。
書き換えは一時的かつページ単位で行うので、「画面の再読み込み」か「別のページに移動して戻る」と本来の正しいページが表示されます。
つまり、ページを移動して、新しいページが表示される瞬間を確認出来れば信用度が高いですね。
ただし、偽のページを丸ごと作っていたり、パソコン上のファイルをWebで見ているように表示する手法の場合は、「画面の再読み込みやページの移動」をしても書き換えた数値は変わりません。
この場合はURLが違っていたり、「ファイル」と表示されていないかで判断できることもありますが、ここも一手間かければ変更可能です。
コストを掛ける詐欺なら偽サイトを作る可能性もあるので注意したいところ。
目の前で画面を見せられたら信用してしまいそうですが、「特定のページしか見せない(ページの移動を見せない)」または「画像でしか見せない」は怪しいので気をつけたいですね。
信用できるケース
「真面目に的中報告をしている人まで疑われる」というメールも頂いたので、信用できるケースを検証したいと思います。
まず、テレボートはブラウザ(SafariやGoogle Chromeなど)か、公式アプリの2種類。
ブラウザ版のテレボートならHTMLの書き換えが出来ますが、アプリ版は出来ません。
(基本的にアプリのプログラムは外部から解析が出来ないようになっています)
ただし、ブラウザ版とデザインがほぼ同じなので、縦横比を合わせてヘッダー(上のアドレス部分)を消して、フッター(下のメニュー部分)を合成すれば作れてしまいます。
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また、HTMLの書き換えは基本的にページ単位でしか出来ない為、ページの移動を動画で確認できれば信用度は高いと思います。
スマホの標準機能「画面録画」で検証してみます。
(PCの方はスマホ閲覧推奨)
スマホの操作や、ページの移動がそのまま録画される機能です。
ただ、この方法にも抜け穴があって、加工したものを動画編集で組み込む手法が考えられます。
編集自体は特別なソフトも必要なく、無料アプリでも割と簡単。
加工内容によっては色の差異や、コマ送りで確認すると見破れることもあるので、単純なスクショより信用度は若干高めだと思います。
色々考えてみましたが、一番信用できるのは「実際にアプリを操作する手元を動画で撮影して、ページの移動が確認できるケース」
手元のスマホ画面にも合成することはできますが、違和感なく仕上げるのは難易度が高いので偽造は少ないはずです。
余談ですが、本当に勝てると謳うなら「電投王決定戦」に挑戦して欲しいところ。
電投王決定戦より引用
児島・唐津・大村の3場共同キャンペーンで、決められた期間の合計払戻金額や高額的中を競うキャンペーンです。
過去2年のランキングが発表されていて、以下は2020年の払戻金額ランキング。
電投王決定戦より引用
回収率ではなく、あくまでも合計払戻金額ですが、上位13位まで5,000万以上の払い戻し。
単勝、複勝、拡連複は対象外ですし、電投なのでマネーロンダリングの可能性は低く、もしくは金持ちの道楽という線もありますが、上位陣は勝っている可能性が高いと考えるのが自然ですね。
そして、これにランクインすると、順位の下の部分に「登録した自分のニックネーム」がマイページに表示されます。
サイト名やアカウント名でランクインしているスクショを公表しているなら、高額でも買ってみたい気はします。
ただ、本当に安定して勝てるロジックを持ってるなら複利で回して数千万を運用するのも難しくないはずなので、そもそも予想を売る必要性が少ないですね。
また、単純計算でオッズが0.1倍下がると回収率が10%低下することから、想定した期待値を取ることが出来なくなるリスクもあります。
偽造して集客しているものは論外ですが、自分で予想しても当たらなくて楽しめなかったり、展開予想の勉強として購入するなど、有料予想の是非や価値は人それぞれ。
モラルを守っていれば何も問題はありません。
個人的には他人の予想に乗っかって長期的に勝てるほどボートは甘くないので、エンタメとして楽しむ程度が良いとは思います。
おわりに
実際の舟券や馬券を偽造すると「有価証券偽造罪」にあたります。
行使の目的で有価証券(財産的な価値を証明する書類)を偽造・変造すること。
「行使の目的(本物として使う)」が成立要件なので、画像を加工するだけならグレーゾーン。
有料予想の宣伝に捏造した的中画像を使っても、利用規約に「内容の正確性や利益等の結果を保証しない」などの表記があると詐欺罪に問うことは厳しいようです。
予想情報を購入して受け取ると「契約と履行」はされているので、過去の摘発事例に多いのは「100%・確実」などの明らかに騙す行為があったケース。
また、誇大広告・不当表示の「優良誤認」という規制もありますが、過去の一部の的中実績を掲示しているだけとも言えるので難しい部分もあります。
景品表示法第5条第1号は、事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、その品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、
- 実際のものよりも著しく優良であると示すもの
- 事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの
であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています(優良誤認表示の禁止)。
具体的には、商品・サービスの品質を、実際よりも優れていると偽って宣伝したり、競争業者が販売する商品・サービスよりも特に優れているわけではないのに、あたかも優れているかのように偽って宣伝する行為が優良誤認表示に該当します。
消費者庁 優良誤認とはより引用
個人的には、良かった期間の回収率だけを切り取って宣伝したり、捏造した画像で宣伝するのは十分アウトだと思うのですが、立証しづらいのが問題。
「客から送られてきた的中報告画像」という形にしていれば、「捏造だとは知らなかった」と言い逃れされる可能性もありますね。
加えて、広告を審査する「日本広告審査機構(JARO)」では予想情報は対象外。
「非科学的なもの(ギャンブルの予想、占いなど)」として分類されています。
競艇場に認可を受けている予想屋さんがいるように「情報販売」自体は真っ当なビジネスですが、詐欺まがいのものがあるのも事実。
「儲ける」ことが目的なら慎重に検討した方が良いと思います。
有料予想の購入は投資における手数料のようなもの。
1レース500円の有料予想を購入したとして、そのレースの投資金額が2000円だと手数料が25%も掛かっていることになります。
自己資金によって変わりますが、割合が大きいと長期的に勝つのは厳しいですね。
また、「オッズが下がるのでマンツーマンで買い目を教えます」や「月々いくら利益を出します」などの代理購入系のトラブルもネット上にはあるので注意が必要です。
JRA公式サイトでは「JRAが把握している悪質な予想・情報提供業者の被害事例」で注意喚起されています。
JRA公式サイトより引用
JRA公式サイトより引用
ボートレース公式サイトでも注意喚起されていますが、情報量が違いますね。
規模が違うとはいえ競輪とオートレースに至っては見当たらなかったので、JRAが良心的なだけとも言えますが。
ボートレース公式サイトより引用
被害があることを分かっているなら具体的な対策をするか、もっと注意喚起するべきです。
「的中画像の捏造」だけなら、実際の馬券のQRコードに「購入内容」が暗号化されているのと同じように、テレボートの的中結果画面に表示すれば対策になる可能性も。
公式アプリから読み取ると、個人情報を除いた「買い目・購入金額」が表示されるシステムなら、加工するのは難しくなります。
現状だと簡単過ぎて悪用される余地があり、全体の信用が下がるのも問題だと思います。
あからさまな札束の画像に「稼げます!」みたいなサイトは大半の人が信用しないと思いますが、わざと怪しい作りにして、カモになるターゲット層だけ狙う「顧客選別」という手法に近いもの。
誘導文でふるいに掛けて、最終的にお金を出す人だけを釣れるので合理的と言えば合理的です。
一般的に「無料予想登録→有料予想」のスキームが多く、最初は半信半疑でも「有料コースで的中!」などの誘導で心理的なハードルを下げてきます。
また、メールアドレスを収集することが目的の場合もあり、リスト化されて流出する危険性も。
登録するにしても、専用のアドレスや捨てアドなどを使う方が良いと思います。
(数サイトを捨てアドで登録してみましたが、ドメインによっては弾かれるケースもあり)
捨てメアド
Aki Ueno無料posted withアプリーチ
他の事例では、口コミ・比較検証サイトも注意喚起されています。
JRA公式サイトより引用
いわゆるステマ(ステルスマーケティング)ですね。
日本にはステマを直接規制する法律が無いこともあり、中立な第三者を装って誘導している可能性もあります。
運営者にとって利のないサイトを悪質と攻撃することで「敵の敵は味方」のような心理になるので、慎重に判断したいところ。
「悪質」の定義は人それぞれですが、騙されたと思った場合は「国民生活センター」に連絡するのも一つの手です。
相談件数が増えると、2011年にJRAに注意喚起を要望した例があります。
従前から日本中央競馬会(JRA)は「悪質な予想・情報提供業者(高額な情報料・過大広告等) にご注意ください」注 3 とホームページ等で注意喚起を呼びかけている。
しかし、「競馬予想情報 提供サービス」に関する相談件数は年々増加傾向にあり、今年度も前年度を上回る相談が寄せられている現状がある。
また、悪質な予想情報提供業者から予想情報を入手した消費者は、ほぼ必ず馬券を購入するために、競馬場、場外発売場(ウインズ)、JRAの電話・インターネット投票サービスを利用すると思われることから、被害の未然防止、拡大防止の観点から JRA には更なる消費者への注意喚起を要望する。
不当な勧誘で誘う「競馬予想情報提供サービス」に注意 より引用
最終的には自己責任なので、過去の買い目や予想内容から信用できるか判断したいですね。