【競艇】選手の引退についてまとめ【ボートレーサー】

競艇選手の引退

ボートレーサー募集サイトより引用

ボートレーサーの平均年収は約1,700万円。
「未経験から目指せるプロのアスリート」とも言われる夢のある職業ですが、プロの宿命であるシビアな世界。

この記事では引退勧告となる条件や、引退した選手の情報をまとめています。

向上化規定

選手会による「向上化規定」があり、
該当者には「選手会からの退会勧告(いわゆるクビ)」
残酷な制度ですが、競争のレベルを保つための最低限の基準とも言えます。

4期通算勝率が3.80未満

1期は半年間なので「4期=2年間」の通算勝率が適用されます。

勝率とは着順点の合計を出走回数で割ったもの。

一般戦ならオール4着で「4.0」
B級下位選手にとって「3.80」は壁となる点数です。

※SGは+2点、G1・G2は+1点
※優勝戦は1~3着が+1点、4~6着が+2点

もちろん、新人選手への猶予期間など例外もあります。

4期通算といっても1期(半年)が「49走以内」ならばカウントせず、
「50走以上」になった次の期と合わせて計算。
勝率や事故点が厳しい選手は出走回数を調整して「49走止め」を行うこともあります。

よって、まったく勝てなくてもデビューから最長7年間は選手を続けることが可能です。
(登録から3年の猶予 ＋ 50走未満を維持して4年 ※産休などを挟む場合は更に伸びます)

現在は成績上昇中の黒澤めぐみ選手も一時は4期通算勝率3.80を下回って引退危機。
勝負駆けラストレースはオールB級戦の１号艇。
無事に逃げて点数をクリアし、当日に途中帰郷で引退回避となっています。

新人選手は4年目からの4期が最初の試練となります。

4期通算勝率が1601位以下

選手数は基本的に「1600名」で調整されています。
規定上は勝率3.80を超えていても1601位なら引退勧告となりますが、
現状では勝率3.80以下の選手が過半数を占めています。

4期通算事故率が0.70以上

事故点の合計を出走回数で割ったものが「事故率」です。

選手の約50%を占めるB1級の半年間の平均出走回数は100走程度。
フライング休みで出走回数が減ることで、更に事故率が高くなる悪循環に陥るケースも。
安全運転必須でレースに参加しているだけの「事故パン」選手も稀にいるため、予想時は注意が必要です。

また、「4期通算」以外にも「1期(半年間)」の事故率が0.70を超えると勝率関係なく来期B2級が確定します。

選手登録33年以上で4期通算勝率が4.80未満

このルールは「4期通算勝率3.80未満の選手」に引退勧告を出した上で、
選手数が1600名を超える場合に適用されます。

2022年前期終了時点の選手数が1611人だったため、
2023前期でベテラン選手が11人引退となっています。

このルールがベテランに厳し過ぎるという意見を受け、2023年3月に一部変更がありました。

変更前：来期にデビューする新人選手も含めて1600名
変更後：来期にデビューする新人選手は含めない

これにより、33年ルールの適用は少なくなると思われます。

魔の８項

「向上化規定」の他にも、俗に言う「魔の８項」も存在します。

「向上化規定」と混同しやすいルールですが、
抵触しても「6ヶ月の斡旋保留(休み)」と即引退ではありません。

過去には西島義則選手や福来剛選手といったA級選手にも適用されています。

また、新人選手でも猶予されるのは「勝率」のみ。
デビュー期にF3を切った小芦るり華選手のように「事故率」は平等です。

「向上化規定」は4期(2~4年)ですが、「魔の８項」は1期(半年)で計算。
避けるためには「49走止め」か、事故点なら「無事故完走」で出走回数を増やすことが必要に。

抵触すると半年の休み・B2降格などで結局は引退に繋がりやすい制度とも言えます。

その他の規定

「選手出場あっせん規定」ではあっせん停止に「競争法違反容疑により起訴された時」や、「競走に関し不正な行為の疑義が生じたとき」などはあっせん保留に出来る規定も存在。

また、選手の懲戒にも細かく規定されています。

有名なのは「艇王」彦坂郁雄 元選手の部品持込による整備違反。
真相は不明ですが、選手会からの退会勧告により引退となっています。

2016年にはLINEで外部と通信をしたとして、1年間の出場停止を受けて引退した選手もいます。

持続化給付金受給問題では最大で「出場停止4ヶ月」
また、傷害などで逮捕された選手もいますが、レースに直接関係ない行為では即引退とはなっていません。

一方、八百長の西川は「モーターボート競走法違反罪」で懲役3年の実刑ですが、自主的に引退後の逮捕。
中村亮太 元選手や江崎一雄 元選手は斡旋停止やレース場側の斡旋拒否などの噂もあり、不透明な部分もあります。

引退勧告

正式には「日本モーターボート選手会」からの退会勧告です。

退会勧告の対象は日本モーターボート選手会の事業報告書で確認できます。
ただし、人数のみで選手名は公表されません。

勝率や事故点を計算すれば対象者は把握出来ますが、
退会勧告が出される前に自主的に身を引く選手も多いです。

退会勧告が出された選手は級別実施期間の「6月30日または12月31日」まで選手として在籍できます。

他競技の制度

他競技を見てみると、競輪には「代謝制度」、オートレースには「新陳代謝制度」が存在。

競輪公式サイトより引用

競輪の代謝制度は半年ごとに成績下位30名が強制引退となる制度です。
(ガールズケイリンは3名)

ボートより選手数が多いこともありますが、厳しく感じますね。
(ボートレーサーは約1600名、競輪選手は約2400名)
自転車競技という性質上、新人選手への猶予期間もありません。

オートレース公式サイトより引用

オートレースはS・A・Bの３ランクがあり、更に「Bー〇〇位」と順位も公開されています。
成績下位者は強制的に引退となる「新陳代謝制度」の対象に。

ただし、オートレーサーは約400名と少なく、
2021年まで養成所の募集が2年に1度だったこともあり明確な人数は無いようです。

ボートや競輪と違って、オートレースはハンデ(スタート位置が異なる)があるので、
選手間の実力差があっても勝負になる部分もあります。

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セカンドキャリア

引退した選手には選手会の共済制度による「退会時給付保険(退職金)」や「慰労給付年金」があります。
(※年金の受給要件の詳細や月額は公表されていません)

引退後は一般の仕事に就く方が大半ですが、ボートに関する仕事では解説者や、ボートレーサー養成所の教官、救助艇などの運営スタッフとなる方もいます。

引退した選手一覧

引退した競艇選手の一覧です。

※集計は1998年前期以降